FXで順張りは常に正しい戦術か?逆張りする場合の注意点は?

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損小利大、逆張り不可、順張り推奨、ナンピン厳禁など相場の常識とされている様々なルール(格言)が存在します。取り扱う商品、期間などにより、多少常識は異なるものの、それほど大きな差はありません。

前述したような相場の格言は、自分の経験から言っても原則的には正しいと思います。ただし、無条件に正しいという分けでありません。それぞれの格言には前提条件があります。前提条件が異なれば、取るべき手法もまた異なります。

順張り戦略は常に正しいか

相場関連の本を読むと、「逆張りはするな、順張りで相場の向かう方に乗って行け」という趣旨の記述をよく目にします。実際にこの手法で利益を上げているファンドマネージャー、トレーダーは多く存在します。

では、実践してみましょう。となると、「そんなに簡単なことではない」となります。なぜでしょうか。そもそも、相場の方向が上なら買い、下なら売りの取引をすれば問題ないのであれば、それほど難しいことはないように思います。

そう考えると、無条件に相場について行けばよい、という単純な順張り戦略肯定論に疑問が浮かびませんか?

そもそも相場の方向とはなんだろう?

そもそも相場の方向とはなんでしょうか。DMIやADXテクニカル指標によって判断すべきでしょうか。それとも、基準となる過去時間の価格と、現在時間の価格を比較して大きければ上昇、小さければ下降と判断すべきでしょうか。

もしもそうなら、やはりこのルールで実践するシステムトレードは必ず勝てるはずですが、残念ながら、そうはなりません。

なんだかよく分からないですよね。

実は相場が上昇傾向にあるとか下降傾向にあるという認識は、単純に数値によって得られるわけではなく、もっと主観的なものだと思います。

 

マーケットの意思

実はマーケットには意思があります。もちろん、人間と同じような意思を持っている分けではありません。意思という言葉で、誤解が生ずるのであれば、テーマと言ってもいいかもしれません。

例えば、「米国の利上げが見込まれるから米ドルは買いだ」「中国とアメリカの貿易協定は破談になりそうだから、米ドルは売りだ」と言った分かりやすいもの。

さらには、「ずっと破れなかった110円の抵抗線を大きく超えたから、しばらくはドルの上昇が見込める」など経験則的なもの。

もっと恣意的なもので言えば、「105円付近には大量のストップロス注文があるから、この水準を破ってやろう」といったもの。

それぞれはマーケットの意思というよりは、マーケットに参加する人間の思惑ですが、この思惑がある程度の多数派を占めた場合にマーケットはトレンドを形成します。

言い方を変えれば、トレンドを作る要因はマーケット参加者の思惑であり、チャートの形は、この結果として形成されていると言えます。

 

順張り(トレンドフォロー)で利益を上げるには

結局のところ、トレンドフォローでコンスタントに実績を上げるには、相場の意思をある程度理解した上で、チャートを読み、チャートの方向が、自分が認識する相場の意思と合致した場合にエントリーするという方法だと思います。

テクニカル分析とは、相場の意思は結果としてチャートの形となって表れるという立場に立って分析するものです。

この考え方ももちろん有効ですが、チャートは相場の意思をクリアに表現している分けではありません。実需や個別の参加者の仕掛けによるノイズを常に受けています。

このノイズにいかにしてふるいにかけて、利益を出すかはテクニカルトレーダの腕の見せ所でしょう。

しかし、結局は、この相場のノイズを上手く処理できなければ、コンスタントに利益を出せません。マーケットの意思を推し量るのと、ノイズを除去するのとどちらが難しいかはなんとも言えません。

つまり、原則として「順張りは正しい」という言葉は、「順張りしていれば必ず勝てる」と同義ではないのです。

 

じゃあ逆張りはどうだろう?

それでは「逆張りをするな」についてはどうでしょう。逆張りをすれば必ず負けるのでしょうか。

もちろん、そんなことはありません。逆張りであっても利益を取ることはできます。

「順張りであれば必ず勝てるという分けではない」というのは「逆張りであっても必ず負ける分けではない」というのと同じことですよね。

では順張りも逆張りも、結局は同じなのだろうか。とも考えてしまいます。

この設問に対する答えは、ある意味でyes、ある意味でnoです。

結局は、利益を狙う道筋は違うだけです。

 

順張りで取るべき戦略と逆張りで取るべき戦略

順張り戦略

順張り戦略については、実のところ、ほとんど先述させていただいています。

結局は、トレンドを上手く見極めるのが重要で、トレンドを見極めるには以下の2ステップがあれば問題ありません。

①相場の意思(テーマ)を見極める

相場のテーマは大きければ大きいほど良いです。直近ではポンド相場のBrexit関連などがそうですね。トレンドを形成するテーマの重さは、大きく以下の順番という認識です。

1.金利
2.景気動向、(労働需給、GDP関連)
3.テクニカルブレイクアウト
4.突発的な事件、事故

Brexitのような国の在り方に係るような大きなテーマを除けば、相場に一番大きなインパクト与えるのは金利動向です。金利動向の変化による相場変動は、多くの場合、一時的なものではなくトレンドとなります。

逆に突発的な変動要因としては、テクニカルブレイクアウトと突発的な事件事故などがあります。

テクニカルブレイクアウトとは、チャートの重要ポイントに多く存在するストップロス注文を書き込み、一気に相場の上下動を発生させることです。

突発的な事件事故は、例えばテロや自然災害などを指します。

テクニカルブレイクアウトや、突発的な事件事故の場合は、一時的な相場変動をもたらしますが、金利動向などに比べれば、そのままトレンド形成に突入する可能性は低いでしょう。

②チャートの形を確認する

相場のテーマを見極めたと考えた後に、次に確認するのがチャートの形です。自身の認識する相場のテーマに沿った推移をしていれば、エントリーです。

ここでやっとDMIやADX、あるいは過去と現在の価格比較の実行ですね。

エグジットのタイミング

①または②がエントリー条件を満たさなくなったらエグジット(決済)です。

エグジット条件はある程度機械的に決めておきましょう。二本安値を下回った場合、時間足前回安値を下回った場合など、エントリー時点で決済を行う価格を決めてしまう方が確実です。

逆張り戦略

逆張り戦略は大きく2つの選択肢があります。

短時間の急激な相場変動に対する逆張り

急なニュースやテクニカルブレイクアウトにより、一瞬で大きく一方向に相場が動くことがあります。

この場合、短期的には相場は戻る方向に動くことが多くあります。この動きをショートカバーと言います。

一瞬で動いた相場に対して、一瞬で反応する必要はありますが、慣れるとそれなりの成功を見込めます。この手法を用いている方は、それなりに多いものと思います。

この手法の難しさはエントリーよりもむしろエグジットです。一瞬の値動きに反応するため、その時点ではなぜ相場が動いたのか分かりません。

例えば金利に係る重大なアナウンスがあったような場合には、そのままトレンドを形成する可能性もあり、撤退のタイミングを誤れば大きな損失を計上する可能性があります。

この手法を取った場合、「エグジットは5分以内に行う」など時間を決めてしまう方が良いと思います。

割安、割高判断によるエントリー

相場が一方向に進んだ場合、行き過ぎて割安水準、割高水準となることがあります。

割高、割安にはさまざまな指標があり単純には評価しずらいですが、主要通貨ペアであれば、ニュースで「歴史的な水準」など言われれば、売られ過ぎ、買われ過ぎの事態になっている可能性が高いです。

この場合にエントリーを行う手法も有りでしょう。

この方法では、保有期間がかなり長くなる可能性が高く、実質的にロスカットも機能しません。(安いと思ったから買う→相場が下がった→もっと割安になったのだから売る理由がない)

十分余裕と時間間隔を持って臨む必要がある方法です。

 

最後に

順張りも逆張りもどちらも収益機会があり、それぞれに適したトレード方法があること、お話しさせていただきました。

ただ、申し上げたかったのは、「順張りなら必ず勝てる」分けではないということだけで、「逆張りの方が優れている」という分けではありません。

先ほど書かせていただいた、順張り、逆張りそれぞれのトレード手法を見ていただけると分けるかと思いますが、順張り手法の方がエグジット条件が明確です。これはすなわち、ルール通りにやっていれば大敗をし難いということを意味します。

またトレンドが長く続いた場合、一度の取引で予想外に大きな利益を上げうるのも順張りです。

この為、「順張りの方がよい」という主張には、概ね賛成です。

ただ、私自身は、逆張りによるトレードを比較的よく行います。デイトレードに関しては逆張り主体と言っても良いほどですが、収益率は長期順張りトレードをしのぎます。

前人の知恵の集大成である格言も単純に表層だけを鵜呑みにするのではなく、なぜ?本当に?を繰り返し問うことで、理解が深まり、身につきます。

結局は、自分で考え自分で判断することが重要です。

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