不安な時代の投資戦略 生活防衛に必要な対処

ファイナンス

少子高齢化、主要各国で増大する政府債務、温暖化の進行による自然災害の強大化、デフレによるゼロ金利の定着など、今後のお金に関する不安は尽きません。こんな時代に最適な投資戦略について考えてみたいと思います。

危機(リスク)の種類と解釈

私が社会に出たのは、今からちょうど30年前。1991年のことでした。当時は株価こそ1989年12月の高値を超えられない状態が続いたものの、経済は右肩上がりの状態が続いており、社会全体が将来に対する楽観で満ちていたように思います。

ひるがえって現在の日本の状況は、当時とは対極的な状態にあるように感じます。情報化の進展により、世界で均質な情報アクセスが可能となった為、グローバルな資本、労働力の調達が可能となりました。

その結果、発展途上国は成長し、先進国は成長を鈍化させ、経済観点からみると世界はフラット化されつつあります。

この流れは今後も続き、先進国、特に少子化の進む日本と欧州では今後しばらくの間、大きな経済成長は望めない可能性が高いと考えます。さらに今後発生しうる問題としてこんなことが考えられます。

高齢化・年金問題

すでに多くのメディアで取り上げられており、内容については多くの方が認識されている問題であると思います。少子高齢化が進む以上、年金・社会保険の給付水準を現在の状態に維持可能と考えるべきではないでしょう。

近年求められているのが、公的年金に依存しない自己責任での資産運用です。有名なヘッジファンドでも破綻することがあるような難しさのある金融市場において、個人が継続的に収益を取るのは難しいでしょう。

政府債務の増大

政府債務の問題は少子高齢化ほどには語られていませんが、発生すれば大きな問題です。2010年のギリシア危機は大きく報道された為、ご記憶の方も多いと思います。

債務危機のやっかいなことは、あまり明確な前兆がなく、何かの引き金がひかれた時に突然発生することです。

債務危機が起こると政府は資金の国外流出を防ぐため、預金引き出しの制限などを機動的に行うことが多く、現預金で資産を保有している場合、発生してからの対処が難しくなります。

債務危機は多くの場合、通貨価値の下落(インフレ)とを伴う為、口座が凍結されている間にも資産価値はどんどん下落します。この為、日ごろから現預金に偏らない資産管理が重要となります。

自然災害

温暖化の進行に伴う自然災害の増加も、将来のリスク要因です。また日本は構造的に大きな地震に見舞われやすい土地です。南海トラフ自身、東海地震、関東直下型地震など、大きな被害が予想される地震も、きっといつかは来るのでしょう。

住宅は個人にとって人生を左右するほどの大きな支出要因です。これをたった一度の自然災害で失ってしまってはその後の人生設計に大きな支障が生じてしまいます。

蓋然性の高い帰結・求められる対応

以上の問題それぞれが求めていることを端的に述べれば以下の通りになるかと思います。

1.年金問題が求めているのは、個人・家計の資産を増やしなさい。

2.政府債務の増大が継続しているのは、現金資産の割合を減らしなさい。

3.不動産の購入・管理にあたっては十分に注意しなさい。

実際問題として、個人としてどのように対応できるかを考えます。

個人としてできること

目的は生活防衛

ここで考えたいのはお金持ちになる為の投資戦略ではありません。将来の生活を防衛する為の投資戦略です。その観点で見た場合、どのような金融商品にお金を投じるのが最適なのでしょうか。

生活防衛の観点から、主要な金融商品について検討してみたいと思います。

 

今の時代に最適な投資とは

国内株式・投資信託

危機相性理由
少子高齢化人口減少により全体が減価する可能性あり。
政府債務一時的には影響あるが、長期的には影響軽微。
自然災害一時的には影響あるが、長期的には影響軽微。

 

評価

リスクが顕在化した場合、一時的に価格が下がる(資産が減る)可能性はあるが、長期的には影響は軽微。

ただし、少子化が進んだ場合、日本の人口が減り、人口減少はそのまま経済規模、企業規模の縮小につながる可能性が高く、長期的な上昇継続は期待し難いかもしれません。

 

海外株式・投資信託

危機相性理由
少子高齢化日本国内の影響受けず
政府債務日本国内の影響受けず
自然災害日本国内の影響受けず

 

評価

当然ではありますが、海外株式であれば、原則的には日本国内の影響は受けません。世界経済は密接にリンクしている為、日本経済に問題があれば、世界経済への影響もあるかもしれませんが、日本に比べれば軽微ですし、影響も軽微です。

ただし、海外にもそれぞれのリスク要因がある為、個別の検討は必要です。

 

国債

危機相性理由
少子高齢化特に影響なし
政府債務国債デフォルト時、影響大
自然災害一時的には影響あるが、長期的には影響軽微。

 

評価

政府債務の問題とは、すなわち国債のデフォルト(無価値化、減価)を指す為、リスクが大きいとみなせます。ただし、個人向け国債などは有事に優先的な払戻しを受けられる可能性は高く、デフォルトの可能性はそこまで高くないかもしれません。

 

不動産・REIT

危機相性理由
少子高齢化人口減少による影響あり
政府債務原則影響なし
自然災害建造物への影響の可能性あり

 

評価

現状、利回りでみると大きめの数字が並ぶREITですが、少子高齢化とはあまり相性がよくありません。人口が減ればオフィス需要なども低下する為、将来に渡って高利回りを実現できるかは疑問に感じています。

また、個別の不動産運用なども、自然災害の直撃を受けた場合に大きな影響を受けます。個別の発生確率は高くはありませんが、発生した場合の影響は甚大です。

 

現物資産(貴金属)

危機相性理由
少子高齢化原則影響なし
政府債務原則影響なし
自然災害原則影響なし

 

評価

金をはじめとする貴金属は、危機においてその本領を発揮します。特に政府債務危機に関しては、問題を抱えているのは日本だけではありません。世界の多くの国で、なんらかの形で政府債務に問題を抱えている国は多くあります。

もしも世界の複数の国で、同時多発的に債務危機が顕在化した場合には、海外にも資金の投資先がなくなり、影響を受けない金に資金が集まる可能性があります。

 

推奨案

もしもあなたが、40代~50代であるていどの資産を保有しているなら、以下のような保有割合が考えられます。

収益性の観点から海外株式を、資産防衛の観点から金の割合を高めています。

もしももう少し若い世代の方で、まだそれほど資産を所有していないようであれば、以下のような案も良いのではないかと思います。

収益性を高める為、株式の割合を多くしています。資金に余裕ができてくれば、より防衛的に金の保有量を増やして行くのはいかがでしょうか。

まとめ

リスクに着眼して、資産防衛の観点より、金融商品の評価を考えてみました。いかがでしたでしょうか。

実際には、ここに述べた危機(リスク)が必ずしも顕在するかは分かりません。驚くべき方法で危機が克服されるかもしれないし、自然発生的に危機が消滅するかもしれません。

それとは別に、まったく別の問題が大きなリスクとして、存在感を高めてくることもありえます。

将来をどのように考えて、資産をどのように管理して行くのか。正解は存在しないと思います。おそらくは、人によってかなり考えに隔たりもあるでしょう。

これを機会に少し、ご自身の資産管理方法、資産割合を見直してみてはいかがでしょうか。

見直しにあたっては、日本や世界の問題だけではなく、ご自身の人生設計もきちんと考慮することが必要ですね。あくまでお金は実現したい人生を実現する為のツールなのですから。

 

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