FXの損小利大は確率的に正しいのか?数学的に考えてみると実はどちらも同じ!

FX

今回は、「損小利大は正しいか」を考えてみたいと思います。これもトレードを行う考え方としては正統的で、トレード関連の本にはよく出ています。

損小利大という言葉を非常に単純に捉えれば、例えばひとつのポジションを建てた時に、リミットを+100pips、ストップをー50pipsに置けばよいとも言えます。

でも、これで本当に利益が得られるのでしょうか。

確率的には

単純に数学的に考えるなら、損小利大でも損大利大でも収益期待値は同じです。

期待値とは、ある試行を行った時に得られる数値の平均値を指します。こう聞くと難しい感じがしますが、実は期待値は感覚的にもなじみやすい概念です。

例えば、コインを投げて表が出れば100円をもらえる。裏が出れば50円もらえるといった試行を行う場合の期待値は、以下の式であらわせます。

期待値=100円×50%+50円×50%=(100円+50円)÷2=75円

相場が完全にランダムな動きをすると仮定した場合、この考え方でFX収益期待値を考えると、結果は常にゼロになります。

厳密に言えば、手数料分だけマイナスになります。これは損小利大であっても損大利小であっても変わりません。

なぜならば、損小利大の場合、発生確率は以下のようになるからです。

100円利益の出る確率33.3%
50円の損失が出る確率66.7%
収益期待値=100円×33.3%ー50円×66.7%=0円

逆に損大利小の場合は以下の通り。

50円の利益が出る確率66.7%
100円損失の出る確率33.3%
収益期待値=50円×66.7%ー100円×33.3%=0円

要するに、利大を狙う場合、利益が実現する可能性が低くなる(損失が発生する確率が高くなる)為、損小利大も損大利大でも、収益期待値は変わりません。

 

それでは損小利大に意味はないのか

前述の結果より、冒頭での設問、「損小利大を単純に実践すれば収益が見込めるか」に対する答えは、noです。

トレードで収益を求める為には、結局のところ確率部分を上げるしかありません。

100円利益の出る確率33.3%
50円の損失が出る確率66.7%
収益期待値=100円×33.3%ー50円×66.7%=0円

もしも100円の利益が出る確率が33.3%ではなく、40%や50%であれば継続的な収益を見込むことができます。

ただし、実践では確率を数値として計算することはできません。確率(確からしさ)を上げる為には、経験に基づいた分析が必要になります。

でも確からしさを高める相場分析ができるのであれば、勝ってあたりまえですよね。もはや損小利大などは関係ないように思います。

 

それでは損小利大にまったく意味はないのでしょうか。

損小利大は、収益確率を上げることはできませんが、損失を早期に限定するという意味で有効な方法ではあります。

Buy And Hold以外の取引手法では、想定と異なる方向に相場が動いた場合には、ロスカットが必要となりますが、大きすぎる損失を抱えてしまうと、切るに切れなくなってしまうことがあります。

そのような事態に陥ることを防ぐため、小さめの損失で早めにロスカットを行うことは有効です。

習慣として損小利大を実践していれば、一度の取引で大きすぎる損失を背負うことはないでしょう。

私自身は、取引を行う上で、損小利大にそれほどこだわりませんが、大きすぎる損失が出すことが無いように、常に気にしています。

スポンサーリンク

損小利大よりも大きな問題

期待値の計算のところで少し触れましたが、マーケットがランダムに動く場合(トレーダーに有効な予見性がない場合)、収益期待値はゼロになります。ただし、厳密には手数料分がマイナスになります。

手数料分のマイナス幅は、単純に取引回数との掛け算で膨らんでしまうため、取引を継続する上では大きなコストとなります。

最近ではFX取引のスプレッドはかなり小さくなっており、ドル円であれば、0.2~0.3銭というところも多くなりました。

それでも、もしも一回の取引の収益が、0.4~0.5銭しかないのであれば、コスト率は50%にもなってしまいます。

実は、取引コストは短期トレーダーにとって、継続的な利益の積み上げに対する最大の阻害要因です。

コスト率を下げる為には、一回の取引である程度の利幅が必要です。リミット、ストップは小さくなり過ぎないよう注意が必要です。

 

まとめ

損小利大は数学的には無意味、という主張は、かつて流行ったランダムウォーク仮説と同様に相場を知らない人間の数字による遊びだ、と言われてしまうかもしれません。

たぶん、世の中にはご自身の戦略と上手く組み合わせることで損小利大を有効に利用されている方は多いと思います。

それは素晴らしいこととは思いますが、あまり経験のないプレーヤーが損小利大を守れば勝てると考えてしまうことも危険と考えます。

何事も疑う心を持った上で、自身の判断で試行錯誤を行うことが重要と思います。

コメント