FX小ロットナンピン取引の資金管理4

FX

資金管理、ロット数管理を厳格に行うことで、強制ロスカットは防げます。ただし短期間で大きな利益を見込む手法ではありません。こつこつと利益を積み上げたいとお考えの方はご一読ください。

取引の例2

今度は建玉上限を使い切ってしまった場合の運用例を示します。

取引の条件は前回と同様で以下の通り。
・証拠金:20万円
・取引通貨:USD/JPY
・一回あたりの取引数量:0.1枚
・保有数量上限:0.5枚
・現在の相場:1ドル=110円

初日

本日の相場、1ドル=110円でUSD/JPYのロング(買建)を0.1単位取得します。

取得単価ターゲット評価損益
110.00111.000円 新規

評価損益:0円
実現損益:0円
累計損益:0円

評価損益は決済前の損益。実現損益は決済済の損益として記述しています。累計損益は、通算の損益で、評価損益と実現損益を足したものになります。

現時点では、買った値段=今の値段(評価単価)である為、評価損益はゼロ。一度も決済をしていないので、実現損益もゼロです。

初日+10

初日以降、ドル円相場はずるずると下落を続け、1ドル=106円をつけました。1円下落する都度買い増しをしていたため、所有ポジションは以下のようになりました。

取得単価ターゲット評価損益
110.00111.00▲4,000円
109.00110.00▲3,000円
108.00109.00▲2,000円
107.00108.00▲1,000円
106.00107.000円
評価損合計▲10,000円
期待収益5,000円

評価損益:▲10,000円
実現損益:0円
累計損益:▲10,000円

それぞれの取引での建玉数量は0.1ロットである為、ここで建玉上限数に達してしまった為、追加の建玉を取ることはルール上できません。

上表の期待収益とは、相場が順調に戻した時、最終的に得られるはずの収益額を示しています。

初日+12日

ついに1ドル=104円に到達しました。もう追加のポジションは取れません。一番低いターゲットからも少し距離が開いてしまいました。

これまで取得金額+1円としていたターゲットを104円から1.5円刻みとなるよう変更します。

取得単価ターゲット評価損益
110.00111.50▲6,000円
109.00110.00▲5,000円
108.00108.50▲4,000円
107.00107.00▲3,000円
106.00105.50▲2,000円
評価損合計▲20,000円
期待収益2,500円

評価損益:▲20,000円
実現損益:0円
累計損益:▲20,000円

結果、一番低いターゲットを107円→105.5円とすることができます。今回は機械的に1.5円刻みとしましたが、期待収益がプラスとなる範囲であれば、好きなようにターゲットを設定しても問題ありません。

ターゲットを下げたことにより、塩漬けになるリスクが低下しました。

初日+13

相場が1ドル=105.5円まで回復しました。一番低いターゲットにヒットしたため、このポジションを決済します。

取得単価ターゲット評価損益
110.00111.50▲4,500円
109.00110.00▲3,500円
108.00108.50▲2,500円
107.00107.00▲1,500円
106.00105.50決済
評価損合計▲12,000円
期待収益3,000円

評価損益:▲12,000円
実現損益:▲500円
累計損益:▲12,500円

この取引で500円の損失となりました。事実上のロスカットです。これで次に下げた時に、もう一度建てる余力が生まれました。

初日+14

相場は素直には反転せずに、ふたたび1ドル=104円になりました。もう一度ドルを買います。

取得単価ターゲット評価損益
110.00111.50▲6,000円
109.00110.00▲5,000円
108.00108.50▲4,000円
107.00107.00▲3,000円
104.00105.50新規
評価損合計▲18,000円
期待収益4,500円

評価損益:▲18,000円
実現損益:▲500円
累計損益:▲18,500円

初日+12日に1ドル=104円をつけた時に比べて累計損益が1,500円分改善しています。

初日+15

再び相場は1ドル=105.5円をつけました。昨日建てた買値=104円のポジションを決済します。

取得単価ターゲット評価損益
110.00111.50▲4,500円
109.00110.00▲3,500円
108.00108.50▲2,500円
107.00107.00▲1,500円
104.00105.50決済
評価損合計▲12,000円
期待収益4,500円

評価損益:▲12,000円
実現損益:+1,000円
累計損益:▲11,000円

これで実現損益がプラスになりました。

スポンサーリンク

初日+25

一度は107円までの戻りを見せたものの、1ドル=105円前後を挟んで上下動をしています。この上下動の間に5回の決済を行えた為、実現損益がトータルで8,500円になりました。

現在のポジション状況は以下の通り。

取得単価ターゲット評価損益
110.00111.50▲4,500円
109.00110.00▲3,500円
108.00108.50▲2,500円
105.50107.00▲500円
104.00105.50+1,000円
評価損合計▲10,000円
期待収益6,000円

評価損益:▲10,000円
実現損益:+8,500円
累計損益:▲1,500円

ナンピン方式の強みはレンジ相場です。一定期間所定のレンジで上下動が発生した場合には、利益を計上するチャンスです。

相場の水準は低いままですが、累計損益は▲1,500円となり、プラスマイナスゼロのラインが近づいてきました。

初日+30

相場が急落(急激な円高)し、1ドル=100円をつけてしまいました。

取得単価ターゲット評価損益
110.00111.50▲9,000円
109.00110.00▲8,000円
108.00108.50▲7,000円
105.50107.00▲5,500円
104.00105.50▲4,000円
評価損合計▲33,500円
期待収益6,000円

評価損益:▲33,500円
実現損益:+8,500円
累計損益:▲25,000円

惨憺たる状況です。

前回同様にターゲットの見直しを行いますが、1ドル=100円を起点に2円刻みに変えてもこんな感じです。期待収益がマイナスになってしまいます。

取得単価ターゲット評価損益
110.00110.00▲9,000円
109.00108.00▲8,000円
108.00106.00▲7,000円
105.50104.00▲5,500円
104.00102.00▲4,000円
評価損合計▲33,500円
期待収益▲6,000円

評価損益:▲33,500円
実現損益:+8,500円
累計損益:▲25,000円

期待収益がマイナスとなってしまうのは問題ですね。

ターゲットの刻み幅を2.5円や3円まで上げて対処するのもひとつの方法ですが、あまりターゲットのレンジが開き過ぎてしまうと、レンジ相場での収益機会が減ってしまいます。

最初に期待収益をプラスで維持できないと、もしも相場が戻り切った場合でも最終的なプラスが確保できない為、期待収益をプラスで維持する必要があると述べました。

でも今は実現損益が8,500円あるので、戻り切ったところで▲6,000円の実現損が出たところで、最終損益は+2,500円を維持できます。

追い込まれてしまった場合は、以下のルールで乗り切りましょう。

期待収益+実現損益がプラスとなれば良い。

原則としては、期待収益の範囲内でターゲットの設定を行うべきですが、それによってレンジ相場での収益機会が減るよりは、長い目で見れば利益率が上がるものと考えます。

今回はこのまま2円刻みのターゲットで進めることとします。

翌日+60日

1ドル=100円をつけた後、相場は上下動を繰り返し現在は1ドル=105円まで戻しています。

この間に7回の決済を行うことができた為、現在のポジションは以下の通りとなりました。

取得単価ターゲット評価損益
110.00110.00▲5,000円
109.00108.00▲4,000円
108.00106.00▲3,000円
評価損合計▲12,000円
期待収益▲3,000円

評価損益:▲12,000円
実現損益:+22,500円
累計損益:+10,500円

実現損益は、前回までの分が8,500円。これに7回分×2,000円=14,000円を加算した結果、+22,500円となっています。

この実現益と評価損益を集計すると累計損益は、+10,500円となりました。最初に所持金200,000円初めた取引でが、この時点で210,500円になったことになります。

相場は期待と逆方向に動いたにも関わらず、収益が確保できた格好ですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。なるべく分かりやすいように書きたいと思ったものの、細かな話が多く分かりにくかったのではないかと思います。

簡単にこの手法まめると以下の通りですね。

・小ロットでナンピン買いを続ける
・ただし上限数量を超えない
・想定を超えて相場が反対に動いた場合、ターゲットの見直しで対処
・ターゲットの見直しは、利益金額の範囲内で行う

やっぱり難しいですね。

端的に言えば「破産しないナンピントレード」というだけですが、「破産しない」というのがポイントです。

私自身、通常のトレードとは別枠で、このトレードを数年続けていますが、そこそこ優秀な成績を収めています。

一日一回、あるいは数日に一回管理すれば続けて行けるというのもポイントです。

今回、一番ポピュラーな通貨である為、ドル円を例にとりました。ただ今のドル円はあまりこの方法には向いていないと思っています。

どういう通貨ペアで、どういう局面で用いているかなど、別のページで述べたいと思います。

ご拝読、ありがとうございます。

スポンサーリンク

 

コメント